キング・オブ・コメディ

監督: マーティン・スコセッシ
出演: ロバート・デ・ニーロ, ジェリー・ルイス, ダイアン・アボット, サンドラ・バーンハート, シェリー・ハック

またまたデ・ニーロ&スコセッシの作品のレビュー。

ずっとこの映画を見たくて最近やっと実現した。

ロバート・デ・ニーロ演じるパプキン(パンプキンではない)は、コメディアン志望。

パプキンは、ジェリー・ルイス演じるTVのトークショーの人気者、ラングフォードの大ファンである。

同じくラングフォードのファンの女性マーシャとも知り合う。

ある日パプキンはラングフォードに近づき、自分は才能あるコメディアン志望だと売り込む。

異様に熱っぽく話すパプキンに嫌気がさしたラングフォードは、追い払うために事務所に電話するようにパプキンに告げる。

適当にあしらわれたことに気づかないパプキンは家に帰る。

そして自宅にセッティングしてあるトークショーのステージで一人演技をする。

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その翌日からはラングフォードの事務所へ通い詰める。

しかしラングフォードは会ってくれない。

しつこく通うパプキンは警備員に放り出されてしまう。

また、意中の彼女にも自分はラングフォードの友人だと話すが相手にされてない。

それにも気づかないパプキン。

パプキンはラングフォードを誘拐してまでテレビに出演することを熱望した。

夢が実現したパプキンは、テレビのトークショーで自虐ネタの漫談を披露する。

この事件で逮捕されたパプキンは一躍時の人となった。

服役中に自分の回想録まで出筆し、釈放後にTV出演を果たした。

こういう思い込みの激しい異常な役をやらしたらデ・ニーロは上手い。

デ・ニーロというとマフィア映画などの印象が強いが、へぼい人物を演じた「ザ・ファン」や「ボーイズ・ライフ」も面白い。

「キング・オブ・コメディ」はなかなかの秀作でおすすめ。

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エンゼル・ハート

監督: アラン・パーカー
出演: ミッキー・ローク, ロバート・デ・ニーロ, シャーロット・ランプリング

またまたロバート・デ・ニーロの作品。

しかし、本作の主役はミッキー・ローク。

現在の姿に変貌するなんてこの時想像もつかなかないほどのルックス。

また映画自身もサスペンスミステリーの傑作で、雰囲気といい綿密な伏線を張った構成といいすばらしい作品である。

私立探偵のハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)は、ルイ・サイファー(デ・ニーロ)から仕事を依頼される。

行方不明の歌手ジョニーを探し出して欲しいということだった。

多額の報酬で仕事を受けたハリーだったが、調査を進める過程でジョニーに関連した人物が次々と殺されていく・・・。

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ミッキー・ロークの私立探偵役がマッチして、当時は大好きだったのを思い出す。

また、デ・ニーロも出番は少ないが圧倒的な存在感で重要な役を演じている。

中でもゆで卵のシーンは印象深い。

物静かにゆで卵の殻をむき、「卵=魂」と話しながら卵をガブリ!

ちゃんと意味があるシーンだ。

この映画について詳しく語るとネタバレになってしまう。

悪魔崇拝者のお話だが決して難しいストーリーではなく、ちゃんと種明かしがされているので観たことのない人にはよくおすすめしている。

最近の映画がとてもつまらないものになっているから余計にこの作品の良さが強調されるのだ。

ケープ・フィアー

監督: マーティン・スコセッシ
出演: ロバート・デ・ニーロ, ニック・ノルティ, ジェシカ・ラング, ジュリエット・ルイス, ロバート・ミッチャム, グレゴリー・ペック

前回に続いてマーティン・スコセッシ&ロバート・デ・ニーロの作品をピックアップ。

本作は1962年にロバート・ミッチャム主演で公開された『恐怖の岬』のリメイク。

リメイク版ではロバート・ミッチャムの役をデ・ニーロ、グレゴリー・ペックの役をニック・ノルティが演じている。

また、ロバート・ミッチャムとグレゴリー・ペックが本作では脇役で出演しているというコラボ作品となった。

婦女暴行の罪で服役したマックスは弁護士のサムのせいで裁判に負けたと考え逆恨みをしていた。

14年も服役したマックスは出所後の復讐を誓い、刑務所の中で体と頭を鍛えていた。

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全身に刺青を彫り、独学で法律を学んだマックスは法に触れないすれすれの方法でストーカー行為を繰り返し、サム一家を恐怖に陥れていった・・・。

本作品の感想。

デ・ニーロが狂気じみた役をやっても新鮮味を感じなくなった時期に見た映画であったため、デ・ニーロの怪演よりニック・ノルティやジュリエット・ルイスの演技に拍手を贈りたい。

わたしはこの作品を見てニック・ノルティが本当に嫌なやつだと思わされた。

映画自体は前半は面白かったけれど、ラストまでその面白さが持続しなかった。

結論はスコセッシにリメイクは向かないということだった。

アカデミー作品賞を受賞した『ディパーテッド』も然り・・・である。

タクシードライバー

監督: マーティン・スコセッシ
出演: ジョディ・フォスター, シビル・シェパード, ロバート・デ・ニーロ, ハーヴェイ・カイテル

マーティン・スコセッシ&ロバート・デ・ニーロの名作『タクシードライバー』はカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。

孤独なタクシードライバーの狂気を描く。

なんといってもロバート・デ・ニーロが若くて細くてかっこいい。

かっこいいといっても、役柄はカッコ良くない。

ベトナム帰還兵のトラビス。

彼は不眠症で頭痛持ちで孤独であり、深夜のタクシードライバーとなる。

タクシーを運転しながらニューヨークの悪に怒りを抱いている。

そんなトラビスが心惹かれる女性は、大統領候補パランタインの選挙事務所に勤務する知的なベッツィ。

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ある日、トラビスはベッツィを映画に誘う。

しかし連れて行った映画はポルノ映画。

ベッツィは怒って帰ってしまう。

その後ベッツィに拒絶されたトラビスは徐々に気が狂ってしまう。

自分以外はすべて狂っている、自分が正常にしてやるという妄想にとりつかれたトラビスは、大統領暗殺や売春婦の少女を助けようと考える。

英雄になるんだという思いが彼を支えていたのか・・・。

この映画は反戦映画だと思う。

ベトナム戦争で命がけで戦った兵士。

だが、帰還した後は職もなく、世間にはなんの栄誉も認められず、都会の孤独に飲み込まれる若者。

あのベトナム戦争はなんだったのか・・・アメリカが描いてきたベトナム戦争への空虚感がトラビスなのだ。

モヒカンで暴走するトラビスをどう捉えるか。

トラビスの妄想であったという見方も出来るのではないか・・と思う。

アンタッチャブル

監督: ブライアン・デ・パルマ
出演: ケビン・コスナー, ショーン・コネリー, チャールズ・マーティン・スミス, アンディ・ガルシア, ロバート・デ・ニーロ

長らくブログ更新してませんでしたが、あけましておめでとうございます。

昨年末は家族の入院などいろいろありましたが、ようやく落ち着きましたので、また映画レビューを綴っていきたいと思っています。

で、さっそくの今年初の投稿として選んだ作品『アンタッチャブル』。

わたしの好きなブライアン・デ・パルマ御大の作品なのだが、本作はあまり好きではない。

デ・パルマがようやくメジャー大作を手掛けた本作。

たぶん、これまででいちばん制作費もかかっているだろう。

なんといってもキャストが凄い。

主役のケビン・コスナーはこのころ超売れっ子俳優だったし、このあと『ブラック・レイン』で日本でも有名になるアンディー・ガルシアも出演。

それに何といってもショーン・コネリーとロバート・デ・ニーロを脇役に回しているのだ。

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ストーリーは1920年から30年代初頭にかけての禁酒法の時代。

シカゴの犯罪組織のボス、アル・カポネを逮捕するため結成された財務省特別捜査官エリオット・ネス率いるチーム「アンタッチャブル」。

彼らがカポネ摘発に乗り出す戦いを描く。

さすがの大作なのでデ・パルマファンが好きなB級映画の影をひそめて物足りない。

この作品のショーン・コネリーに与えられたアカデミー助演男優賞も、同情票と皮肉られた。

唯一、カポネを演じたロバート・デ・ニーロはさすがの怪演である。

ベイ・ブルースの演説をしながら下手を打った手下をバッドで殴り殺すシーンは圧巻。

さすが、マーティン・スコセッシ組のマフィアは質が違うと感じる演技であった。

そのロバート・デ・ニーロがカポネを演じるに当たって頭髪を抜き風貌を変えたところや、有名なユニオン駅での「階段落ち」のシーンなど見所もある。

娯楽作品としては一級作品なので一見の価値あり。

ファニーゲーム

監督: ミヒャエル・ハネケ
出演: スザンヌ・ローター, ウルリヒ・ミューエ, アルノ・フリッシェ, フランク・ギーリング

この映画を初めて観たとき、見終わって腹が立ったことを思い出す。

それまで観た映画でいちばんの後味の悪い映画だったからだ。

物語は、家族がバカンスに出掛けるところから始まる。

楽しそうにドライブする両親と一人息子。

別荘に着くと母親のアンナが夕食の支度にかかる。

そこへ男が二人「卵をください」と言ってやって来る。

そこからが恐ろしいゲームの始まりだった。

それをきっかけに別荘に入り込んだ男たち。

家族3人を縛り上げ、明日まで生きていられるかという『ファニーゲーム』を開始したのだった。

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淡々と流れるこの映画。

カンヌ映画祭で上映されて物議を醸した作品。

最初のドライブシーン以外に音楽が一切なく、会話と映像だけで進んでいく。

また、家族が順番に殺されていくのに、恐ろしい暴力シーンが見られない。

なのにとても怖く、残酷で、救いようのない映画なのだ。

時々、犯人の一人が映画を観ている我々観客に向けて話しかけてくる。

残酷なファニーゲームをしながらあどけなく話しかけるのだ。

そういった演出も含めて監督の悪意を感じるのだ。

しかしハネケ監督が訴えているのが、ハリウッド映画に対する暴力描写の安易性への反発だと知って見方が変わった。

たしかに、近年の映画は安易に暴力や死を扱っているように感じるからだ。

深みがなくなったとでもいうべきか・・・。

なのにこの映画のリメイクが、アメリカ版として作られてしまったのには大きな疑問を感じる。

プルートで朝食を

監督: ニール・ジョーダン
出演: キリアン・マーフィー, リーアム・ニーソン, スティーヴン・レイ, ブレンダン・グリーソン

主人公のキトゥンは男の子だけど心は女の子。

この物語は彼が書い小説36章で綴られる。

リーアム・ニーソン演じる神父と家政婦の間に生まれたキトゥンは、両親が誰だか知らずに里親によって育てられる。

幼い時に「性同一障害」だとわかりながらも明るく成長するキトゥンはには妄想癖があった。

その妄想はまだ会ったことのない母親のことばかり。

授業中に、ちょっとエッチな妄想を物語に仕立てて夢中になっていたキトゥンは、学校の落ちこぼれ扱いされてしまった。

家庭でも爪弾きにされているキトゥンだが、決してへこたれない。

しかもしたたかに振る舞ってみせるところがキュート。

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ある日、キトゥンの性の問題で学校と家庭から叱られ旅立つ決心をする。

夢に見た母親を探す旅を始めたのだ。

そこではいろんな波瀾万丈な経験をするが、そこでも自分らしさを失わない。

中にはアイルランドのIRAの革命テロの内容も描かれている。

泊まるところがなくなり野宿もする。

爆弾テロの一員だと疑われて逮捕もされる。

だが、どんな状況でも対応するキトゥンがかわいくて、愛おしく思える。

またこの映画のおもしろいのは、キトゥンを演じたキリアン・マーフィーが美しいこと!

今まで見たどんな女装より彼の容姿は素晴らしい。

それに、本物の女性よりも甘え上手で女らしいのだ。

音楽もファッションも楽しめる、元気が出る映画である。

改めてニール・ジョーダンの映画はいいなぁ、と感じた。

おすすめ♥

狼たちの午後

監督: シドニー・ルメット
出演: アル・パチーノ, ジョン・カザール, チャールズ・ダーニング, クリス・サランドン, キャロル・ケイン

アル・パチーノ主演の、実際に起こった事件を元にした社会派ドラマ。

1972年8月22日、ニューヨークの午後に事件が起きる。

ブルックリンの銀行に白昼堂々と銀行強盗に入った3人組。

ソニーとサルとロビーだ。

3人は計画通りに銀行に押し入るが、現金はすでに本社に送られてしまったあとだった。

そのうえ、ロビーが急に怖じ気づき逃げ出してしまう。

銀行の有り金をかき集め、逃亡しようとしたソニーとサルだったが、通報を受けた警察に包囲されてしまった。

やがて事件は報道され、銀行の周囲には警察とFBI捜査官、マスコミや野次馬たちで大騒ぎになった。

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逃亡の機会を失ったソニーとサルは追いつめられて、銀行員9人を人質に立てこもった。

そこからは、二人の説得にあたった刑事とソニー達との長時間にわたるやりとりが展開する。

そしてテレビインタビューに答えていくお調子者のソニーは、群衆たちに英雄扱いされていった。

日が沈むころ、銀行内では犯人と人質との異様な連帯感が生まれていた。

警察の説得に応じないソニーに、彼の妻や愛人、母親が次々と登場する。

冴えないおしゃべりで太っちょな妻、実は同性愛者でもあるソニーの男の愛人、息子のことなど何もわかっていない母親。

社会で爪弾きにされて生きてきた二人の銀行強盗の結末は哀れなものであった。

ラストの飛行場での逮捕のあと、延々と飛行機の音が流れているところが虚しい。

武装した銀行強盗なのに、一発も銃を撃たなかったサルを凶悪な犯人に仕立てた警察は本当に恐ろしい。

社会派の巨匠、シドニー・ルメットの最高傑作ともいえる作品である。

レナードの朝

監督: ペニー・マーシャル
出演: ロバート・デ・ニーロ, ロビン・ウィリアムズ, ジュリー・カブナー, ベネロープ・アン・ミラー, マックス・フォン・シドー

30年もの間、半昏睡状態の不治の病に冒されているレナード。

彼が入院する慢性神経病患者専門の病院にセイヤー医師が赴任してくる。

病院にはレナードのような患者が多数入院している。

人付き合いが苦手なセイヤー医師は、研究を専門としており臨床経験がない。

それでも彼は真摯に患者に接し診察を進めていくうちに、患者たちに反射神経が残っていることを発見する。

そして、セイヤー医師の熱意を感じた看護師のエレノアの協力を得て彼らの治療に全力を注ぐようになる。

中でも重症のレナードに心を動かされ、どうしても彼を目覚めさせようと懸命に働きかけた。

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そしてセイヤー医師は、パーキンソン病の治療薬L-ドーパにたどり着いた。

L-ドーパはまだ試験薬段階の薬だったが、レナードの母に同意を取り投与を開始し、ある朝レナードは目を覚ますのだった・・・。

さっそくセイヤー医師は他の患者たちにも使用し、皆が目覚めるのだった。

目覚めてからのレナードは感動の連続だった。

もちろん、セイヤー医師も感動する。

二人は親友のように仲良くなる。

レナードは恋もする。

しかし薬の効果はだんだん薄れていき、レナードはいろんな制限を受けることに反発して凶暴になっていった。

そして結局はもとに戻ってしまうのだった・・・。

薬が効かなくなり震えが止まらないレナードが、恋をした女性とダンスをするシーンが感動的。

レナードを演じたデ・ニーロの迫真の演技は見物だが、何よりセイヤー医師を演じたロビン・ウィリアムズが素晴らしい。

それまでドタバタのコメディー作品でしか見たことがなかったから、本作のように抑えた演技がとても新鮮に思えたのだ。

裸のランチ

監督: デイヴィッド・クローネンバーグ
出演: ピーター・ウェラー, ジュディ・デイヴィス, イアン・ホルム, ロイ・シャイダー, ジュリアン・サンズ

バロウズの難解な小説『裸のランチ』をグロテスクな描写を得意とするデイヴィッド・クローネンバーグが映画化。

舞台は1953年のニューヨーク。

麻薬を使用した害虫駆除で生計を立てている小説家のウィリアム・リーは、ある日駆除剤が減っていることに気付く。

原因は妻ジョーンが麻薬として使用していたからだった。

そして自分もその麻薬を試してみる。

それから麻薬捜査官に連行されるリー。

その彼の前に巨大な虫が現れ、スパイ活動とその報告書の提出を求めた。

おまけに妻の殺害も命じられる。

その虫を叩き潰して逃げるリー。

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続いて友人に紹介されたベンウェイ医師から麻薬中毒に効くムカデのパウダーをもらう。

自宅に帰りパウダーを使用する。

それから妻のジョーンに「ウィリアム・テルごっこ」を提案し、謝って妻を殺害してしまう。

家を飛び出しバーに行ったリーはまたもや奇妙な怪物に出会い、タイプライターを手に入れて「インターゾーン」へ行き報告書を提出するという指令を受ける。

そして、警察に負われる身になったリーはそのままインターゾーンに逃亡していくのだった。

それは妄想の世界・・・。

いろんな妄想が出てくる。

原作を読んだが、複雑で読破出来なかった記憶がある。

だから映画はとてもわかりやすい。

現実と妄想を行ったり来たりする世界。

でも、万人受けする映画ではない。

麻薬&小説家というキーワードに理解を示さなければ、観ていられないだろう。

当時、同時期に観たコーエン兄弟の『バートン・フィンク』に似た映画なのだが、語り口が全然違う。

クールなコーエン兄弟、エログロなクローネンバーグ・・・といった具合に・・・。

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